ダイレクトクラウンとは歯の型を取る必要がなく、口腔内で直接作製するクラウン(被せ物)のことで、1日でクラウンを入れることができます。歯の形になっている粘土状の被せ物を歯の土台にフィットするように調整し、特殊な光で硬化させるという新しいタイプの治療方法です。日本人の歯の形に合わせて開発されており、2種類のナノフィラー(樹脂の機能を高めるための超微粒子)を使用しているため表面が摩耗しても凹凸ができにくく、滑沢性を持続させることができ、ナノフィラーを結合させることで高い強度・低摩耗性・審美性を実現します。
保険適用内の被せ物治療では、金属を使用した被せ物しか選択できず、見えるところが銀歯になってしまいます。セラミックス等を素材とする審美性の高い白い被せ物の治療を希望する場合は、治療費が高い自費治療を選択するしかありませんでした。
しかし、ダイレクトクラウンは自費治療でありながら、従来の被せ物と比較して安価で白い歯が入るので、治療費の問題で白い歯を諦めていた人達に選択肢を増やすため、ダイレクトクラウンが開発されました。また、忙しい現代人のニーズに合った治療方法と言えるでしょう。
ダイレクトクラウンはハイブリットセラミックスという素材が使われています。ハイブリットセラミックスとは、陶材と歯科用樹脂を混ぜた混合材料です。樹脂のサイズが超微粒子のため、摩耗により削り取られるサイズもナノメーターサイズに留まります。従来の素材はフィラーの粒径が大きいため、摩耗によって削られる面も大きくなります。凹凸ができやすく表面性状が損なわれるため、光沢が失われやすくステインやプラークが付着しやすくなります。それに対して、ダイレクトクラウンは凹凸ができにくく、表面性状が維持されるため光沢が長持ちし、ステインやプラークが付きにくくなります
下の写真のように、長い期間が経っても歯の光沢や形状が維持できるのはダイレクトクラウンの魅力です。
通常一般的な被せ物が入るまでには、銀の被せ物を取り外して削り、歯の型取りをして歯型を作製します。それを技工所に出し、模型に合わせて被せ物を作製します。出来上がり次第、歯科医院にて被せ物を装着しますが、少なくても数日はかかります。
しかしダイレクトクラウンでは、銀歯を取り外し削るまでの工程は同じですが、その後は歯科医院にて被せ物を作製し装着するので、型採りや技工作製などの工程を大幅に省くことが出来るため、1日で、かつ短時間で治療を完了させることができるのです。